こんにちは。Enememoの加藤です。
原材料高や人件費上昇が続く中、「売上はあるのに利益が残らない」という話をよく耳にします。こうした局面で効きやすいのが、値上げや販促ではなく、エネルギー起因のロスを短期間で削ることです。とりわけ工場やスーパーでは、コンプレッサー・冷凍冷蔵といった基盤設備が日々の稼働を支える一方で、損失が静かに蓄積しやすい特徴があります。エア漏れや冷気ロスは、設備が止まらない限り表面化しにくく、設備担当者の交代や繁忙期をまたいで放置されがちです。
本記事では、工場のコンプレッサーとエア漏れ、スーパーの冷凍冷蔵設備と脱フロン更新を軸に、「見えない浪費」を特定し、設備更新と補助金活用で利益改善に直結させるための実務的な考え方を整理します。単なる設備入れ替えで終わらせず、申請でも評価されやすい技術的根拠の作り方まで踏み込みます。設備担当者の皆さまはぜひ最後までご覧ください!
利益率改善の鍵は「ユーティリティー設備」の見直しにあり
工場でのスーパーでも、利益を削っているのは目に見える原材料だけではありません。むしろ厄介なのが、圧縮空気・冷熱・蒸気・温水といったユーティリティーの「見えない浪費」です。
ユーティリティーは、①止められない、②担当部署が分散しやすい、③ロスが静かに発生する、という条件が重なり、放置されやすい領域でもあります。
ここで発送を変えるべきポイントは、「省エネ=節約」ではなく、「浪費=粗利の漏えい」だということです。エア漏れは、空気が漏れているだけでなく電気が漏れている状態です。冷気ロスは、冷やした分を売場に逃がし、追加で冷やし続ける二重の支出を生みます。これらを抑制するだけで、値上げや販促よりも確実に利益が残るケースがあります。
ただし、無計画な設備入れ替えは避けるべきです。ユーティリティー更新の鉄則は、次の順番にあります。
- 見える化(計測):電力・圧力・温度・稼働時間
- 損失特定(診断):漏えい、過剰設定、過剰能力、制御のムダ
- 更新+制御+運用:機器だけでなく回し方を再設計
この順番で進めると、設備更新は単なる入れ替えではなく、「毎月キャッシュを生む仕組み」に変わります。補助金も、こうした合理的な設計のある計画ほど採択されやすい傾向があります。申請書で評価されるのは機器の新旧ではなく、根拠のある改善ストーリーだからです。
工場電気代の3割を占める「エアコンプレッサー」の老朽化対策
コンプレッサーは、工場の省エネで最も費用対効果の大きいテーマの一つです。業界資料によれば、コンプレッサーが工場全体の電力の約20〜25%あるいは条件によって30%程度を占めるといった説明が見られます。
重要なのは数字の暗記ではなく、「自社では何%か」を実測で確認することです。工場の電力構成は、製品ミックス・稼働率・冷凍機の有無・ピーク運転の有無で大きく変わります。したがって、コンプレッサー系統に電力量計を設置し、電力消費における寄与度を確認することが出発点になります。
その上で、現場の損失要因は、おおむね次の3つに集約されます。
① エア漏れ:静かに進行する損失
エア漏れは、空気が漏れているのではなく電力が失われている現象です。
漏えい箇所は、カプラ・ホース・継手・ドレン回り・未使用の枝配管などが典型です。対策としては、超音波リーク検査で棚卸しを行い、タグ付けと優先順位付けをしたうえで修繕し、再測定で効果を確認する、というサイクルが定石です。
目安は工場電気代の20〜30%を占めるコンプレッサーですが、まず実測で自社比率を確認しましょう。補助金の省エネ計算においても、この姿勢が技術的根拠の強化につながります。
② 過剰圧力:必要以上の圧は電力消費を増やす
不足すると困るという心理から吐出圧が高止まりし、末端のムダな圧力が常態化している工場は少なくありません。
対策は、末端圧を可視化して必要圧を決める、用途別に減圧する、配管のボトルネックを改修する、という順序で検討します。吐出圧を上げる前に、使い方と配管で解決することが重要です。
③ 制御の陳腐化:台数制御とインバータ化で部分負荷を最適化
老朽したコンプレッサーほど部分負荷で効率が落ちやすく、複数台運転の切り替えも最適化されていないケースがあります。高効率機への更新に加え、台数制御(需要に合わせた運転台数の調整)とインバータ制御(回転数制御)を組み合わせると、削減効果が伸びやすくなります。さらに、乾燥機・フィルタ・ドレン処理まで含めたエアシステム全体で最適化することが重要です。目標は機器更新そのものではなく、「必要量を必要圧で、最小電力で供給する状態」の実現にあります。
スーパーにおける「冷凍冷蔵ショーケース」の脱フロン化待ったなし
スーパーの電力コストは冷凍冷蔵が大きな比率を占めます。加えて冷凍冷蔵は、省エネだけでなく冷媒(フロン類)対策が避けられません。
フロン排出抑制法の枠組みでは、機器管理(点検・漏えい対応)に加え、温室効果の大きい冷媒を削減する方向へ制度が動いています。そのため現場では、次のようなリスクが顕在化しやすくなります。
- 旧冷媒(例:R 22など)機器の維持リスク:補充・修理の難易度が上がる
- 漏えい対応コスト:点検、修理、報告、復旧までの人手と費用
- 売場リスク:冷凍不調が食品ロス・欠品・クレームに直結する
したがって脱フロンは、環境対応にとどまらず、売上と商品鮮度を守るための事業継続投資として位置づける必要があります。
近年は自然冷媒(CO2など)へ更新する流れが強まっています。自然冷媒化は、GWP(地球温暖化係数)の観点で将来リスクを低減できるだけでなく、機器の高効率化とセットで設計されることが多いため、電力削減にも結びつきやすい傾向があります。
ここでも重要なのは、機器単体の入れ替えではなく、ショーケース側の運用(夜間カバー、デフロスト、結露防止ヒーター制御、清掃・メンテナンス)まで含めて冷熱の浪費を抑制することです。
ただの買い替えではなく「生産性向上」としての補助金活用
補助金を活用して設備更新を成功させるには、老朽化しているから更新するという理由にとどめず、生産性向上の投資として設計することが重要です。
ユーティリティーは、改善がそのまま生産性(ムダ時間・突発停止・保全工数)に波及しやすい領域です。
- コンプレッサー:圧力安定により不良率やチョコ停が低減し得る
- 冷凍冷蔵:温度安定により廃棄が減少し、故障対応の負荷も抑制され得る
- 共通:監視(見える化)により異常検知が早まり、対応が標準化される
申請書上で強力なアピールポイントとなるのは、機器更新の説明に加えて、「どのように運用して成果を出すか」まで描けている計画であることです。補助金制度では設備よりも設計が評価されます。
環境省「コールドチェーン補助金」と経産省「省エネ補助金」の使い分け
冷凍冷蔵設備の更新では、補助金の選定が成否を左右します。狙うべき補助金は次の通りです。
脱フロン(自然冷媒化)を主目的とするなら:環境省(コールドチェーン補助金)
冷凍冷蔵倉庫・食品製造工場・食品小売店舗における脱フロン・脱炭素型自然冷媒機器の導入を支援する枠は、「冷媒転換」を主語に設計されています。冷凍機やショーケースの更新を環境目的として明確に示したい場合に適合しやすい制度です。
工場全体のユーティリティー改善が主目的なら:経済産業省(省エネ補助金)
コンプレッサー、ポンプ、ボイラー、モーター、空調など、工場・事業場全体の省エネ設計をまとめて説明したい場合は、経済産業省系の省エネ補助金が組み立てやすくなります。特に「更新+制御+運用」の全体最適型は、技術的根拠を構造化しやすいのが利点です。
同一設備への二重補助はできないため、設備群を戦略的に分類し、目的と根拠を整理した上で制度を選定することが重要です。
エネルギー単価高騰分を設備効率で相殺するシミュレーション
エネルギー単価が上がるほど、kWh削減の価値は上がります。ここでは現場で利用しやすい計算方法を参考モデルで示します。
① 工場:コンプレッサー更新+漏れ対策
- コンプレッサー群:平均150kW
- 稼働:6,000時間/年 → 900,000kWh/年
- 対策:更新+台数制御+漏えい是正で▲15%
→削減効果:135,000kWh/年
電力単価が
- 20円/kWh:年間270万円
- 28円/kWh:年間378万円
同一の削減量でも、電力単価の変動により守られる粗利額が変わります。電力単価の読みにくい時代ほど、使用量削減はリスク低減策として機能します。
② スーパー:冷凍冷蔵の自然冷媒化+制御最適化
- 冷凍冷蔵設備:100kW相当
- 稼働:8,000時間/年 → 800,000kWh/年
- 対策:機器更新+制御で▲20%
→削減効果:160,000kWh/年
28円/kWh換算で年間448万円となります。さらに、漏えい対応・故障対応・食品ロスのリスク低減まで含めると、投資判断の合理性は一層高まります。
採択される申請書には「技術的根拠」がある
補助金で不採択となりやすい計画の典型は、「更新すれば省エネになる」という説明にとどまるケースです。採択される申請書には、共通して技術的根拠があります。
- 現状の損失が数値で説明されている(電力、圧力、温度、稼働時間)
- 更新後の削減ロジックが再現可能(制御方式、設定値、運用ルール)
- システム全体で省エネを説明している(漏えい→圧力→台数制御、冷凍機→ショーケース→夜間運用)
- 成果確認と報告の設計がある(どの計測で検証するか)
鍵となるのは「見える化」です。計測に基づく計画は、審査側から見て再現性が高く、結果として信頼性が増します。反対に計測がない計画は、改善の必然性や実効性が伝わりにくくなります。申請内容の良し悪しは、設備仕様だけでなくデータの整備で決まります。
メーカー任せの見積もりでは通らない?Enememoの省エネ計算力
メーカー見積もりは、基本的に「機器代+工事費」を提示するものです。しかし補助金申請に必要なのは、システム全体の省エネ率・省エネ量の算定であり、ここが別物になります。
- コンプレッサー:需要変動、圧力設定、漏えい率、台数制御のロジック
- 冷凍冷蔵設備:冷媒方式、熱源効率、デフロスト、夜間運用、結露対策の制御
- 共通:更新前後の比較条件(稼働時間、負荷、季節)の統一
この「技術と言葉を一致させる」作業を、現場条件に沿って構造化できるかが最も重要なポイントです。Enememoは補助金申請支援を専門としており、設備更新を採択させる計画に落とし込むだけでなく、採択後の実績報告・成果確認まで破綻しない形に整える伴走が可能です。設備単体ではなく、投資としての整合性を作る部分が、申請の成否を左右します。
設備更新や補助金申請にお困りの設備担当者の皆さま、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

