こんにちは。Enememoの加藤です。
2026年度(令和8年度)の補助金スケジュールは、例年と大きく異なる可能性があります。その理由が、通常国会冒頭での衆議院解散と、その後の総選挙に伴う暫定予算の編成です。
通常であれば、令和8年度の本予算は3月末までに成立し、4月以降から本格的な公募が始まります。しかし今年は政治日程の影響で、本予算の成立時期が後ずれする公算が高くなっています。これにより、本予算を財源とする補助金の公募開始が遅れる可能性があるのです。
補助金を活用した設備更新を今年度に計画している企業の担当者の方には、この状況を正確に把握したうえで行動していただくことが、例年以上に重要になっています。今回は、2026年度の予算をめぐる政治状況と補助金スケジュールへの影響を整理したうえで、この時期にこそ取っておくべきアクションについてお伝えします。
60年ぶりの「通常国会冒頭解散」が起きた
まず、例年の予算成立スケジュールを確認しましょう。前年の夏から秋にかけて各省庁が翌年度の概算要求を財務省に提出し、年末に政府が予算案を閣議決定します。年明け1月に通常国会が召集されると、1月から3月にかけて衆参両院で審議が進み、3月末までに予算が成立するのが通例です。令和7年度(2025年度)予算も、令和6年12月27日に閣議決定され、令和7年3月31日に成立しています。
ところが2026年は、この前提が大きく崩れました。2026年1月、通常国会の冒頭で衆議院が解散されました。読売新聞は1966年の佐藤栄作内閣以来、実に60年ぶりの事態と報じています。衆議院が解散されると、審議中の法案はすべて廃案となります。予算案も例外ではありません。令和8年度予算は令和7年12月26日に閣議決定済みでしたが、審議が白紙に戻ってしまったのです。
その後、2026年2月の衆院選で自民党が316議席を獲得する大勝をおさめ、政権基盤が安定。現在(2026年3月)は予算審議が再開されており、衆院での採決と年度内成立を目指した審議が進んでいます。しかし、令和8年度予算が4月1日の年度開始前に成立しなかった場合に備え、2026年2月から暫定予算が本格的に運用されている状況です。
「暫定予算」とは何か、なぜ補助金に関係するのか
暫定予算とは、財政法第30条に基づき、本予算が年度開始までに成立しない場合に編成される、つなぎの予算です。国の行政活動は年度をまたいで止まるわけにはいきません。公務員の人件費、年金・医療・介護などの社会保障給付、継続中の公共事業への支出などを確保するために、本予算が成立するまでの一定期間、暫定的な予算措置が取られます。
ただし、暫定予算に計上できる支出は厳しく限定されます。義務的な経常経費や既存事業の継続経費が中心であり、新規事業や政策的な判断を伴う支出は原則として盛り込まれません。これは「政治的正当性を新たに問う必要がある支出は、本予算で改めて国会の判断を仰ぐべき」という考え方に基づいています。
補助金の公募・採択もこの「新規事業」にあたります。本予算を財源とした新たな補助金制度は、暫定予算中は原則として公募を開始できないのです。財経新聞の報道によれば、2026年4月から暫定予算が本格始動し、「新規事業や政策的な予算の積み増しは原則として停止される」状況になっています。これが、今年度の補助金スケジュールに影響を与える直接的な理由です。
過去の先例から見る「遅れ幅」
実は今回と似た状況は、過去にも起きています。安倍内閣時代の2013年度(平成25年度)と2015年度(平成27年度)がその事例です。いずれも前年末に衆院選が実施されたことで予算編成が遅れ、暫定予算が編成されました。日本経済新聞の報道によれば、2013年度は5月20日まで、2015年度は4月11日まで暫定予算が組まれています。本予算の成立が1〜2ヶ月程度後ずれしたことになります。
今回(2026年度)は衆院選が2月に実施され、3月から審議が再開されています。憲法の規定では、衆院を通過した予算案について参議院が30日以内に議決しない場合は衆議院の議決が成立したものとみなされます。3月13日前後に衆院を通過した場合、参院が自然成立するのは4月中旬以降となります。つまり、本予算の成立は早くても4月中旬、場合によっては5月以降になる可能性があります。
なお、過去に最も長く暫定予算が続いたケースとして1953年の例があり、4月1日から7月31日まで暫定予算が組まれ、本予算の成立は7月31日になりました。今回はそこまでの長期化は想定されていませんが、少なくとも4月中は暫定予算での運用が続く可能性が高い状況です。
補助金スケジュールへの具体的な影響
では、補助金を検討している企業にとって、今回の状況はどのような影響をもたらすのでしょうか。
まず整理しておきたいのが、補助金の財源には大きく2種類あるという点です。一つは令和7年度補正予算(2025年12月16日に成立済み)を財源とするもの。もう一つは令和8年度本予算(現在審議中)を財源とするものです。
令和7年度補正予算ベースの補助金については、すでに予算が成立しているため通常通り公募が進んでいます。省エネルギー投資促進支援事業費補助金(令和7年度補正予算分)などはすでに事務局の準備が進んでおり、このスケジュールは例年と大きく変わりません。
一方、令和8年度本予算を財源とする補助金については、本予算成立後にならないと公募を開始できません。例年であれば令和8年度予算ベースの補助金は3〜4月頃に公募が始まりますが、今年は本予算の成立が遅れているためスタートも後ずれします。場合によっては5月以降の公募開始になる可能性もあります。
「準備期間が取れる」と「公募期間が短くなる」の両面を知っておく
この状況には、一見矛盾するように聞こえる二つの側面があります。
まず良い面として、例年よりも準備時間が取れる点が挙げられます。補助金は「公募が始まってから動く」では遅いのが常ですが、今年は公募開始まで例年より時間がある可能性があります。省エネ診断、エネルギー使用実績データの収集、省エネ率の試算、設備の選定、施工会社との調整——これらを今のうちに進めておくことができます。当社としても、この期間を活用した丁寧な事前準備のサポートができると考えています。
一方で注意すべき面として、公募期間が圧縮される可能性がある点があります。本予算の成立が遅れれば遅れるほど、同じ年度内に補助金の公募・審査・採択・工事完了をすべて収めなければならなくなります。結果として、公募期間自体が例年より短くなる可能性が高いのです。2013年・2015年の先例でも、本予算成立後の補助金公募は例年に比べて期間が圧縮される傾向がありました。また、予算成立後は各省庁が集中的に制度設計・事務局立ち上げを行うため、公募開始から締め切りまでの期間が短くなりやすいという構造的な問題もあります。
つまり、「公募開始が遅い分、準備期間がある」という見方は正しい一方で、「公募が始まってから動くと間に合わない」という危険性が例年以上に高い年でもあるのです。
今、取るべきアクションは「前倒し準備」
以上を踏まえると、2026年度に補助金活用を検討している企業が取るべき行動は明確です。公募を待つのではなく、今から準備を始めることです。
まず「設備更新計画の整理」に着手しましょう。どの設備をいつ更新したいか、優先順位を整理しておきましょう。補助金の要件を満たすかどうかは、設備の種類・規模・省エネ率によって変わります。空調、照明、生産設備など、更新を検討している設備のリストアップから始めましょう。
次に「省エネ率の事前試算」を進めましょう。補助金申請において省エネ率の計算は不可欠ですが、現状のエネルギー使用データの収集にも時間がかかります。過去1〜2年分の電気・ガス等の使用量データを今から整理しておくことで、公募開始後の動きが格段にスムーズになります。当社では省エネ率計算のレビューと改善提案も行っていますので、自社で試算した内容を持ち込んでいただくことも歓迎しています。
そして「活用できる補助金の目星を付けること」も重要です。令和8年度本予算・令和7年度補正予算それぞれでどのような補助金が使えそうか、自社の計画に合った制度を今のうちに把握しておきましょう。
「補助金採択」にこだわり続ける、それがEnememoの使命です
今年の補助金スケジュールは例年と異なりますが、「補助金が使えない年」というわけでは決してありません。財源の種類と公募時期を正しく理解し、準備を前倒しで進めることで、むしろ他社よりも一歩先んじた状態で公募に臨むことができます。
Enememoは補助金制度の動向を常にウォッチし、パートナー企業の皆さまに最新情報をいち早くお届けすることを重視しています。「今の時期に何を準備すればいいかわからない」「うちの設備更新は今年の補助金に間に合うか」「令和7年度補正と令和8年度予算、どちらの補助金を使うべきか」といったご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
今年こそ、準備の先手を打ってください。Enememoは計画段階からの伴走支援を通じて、皆さまの補助金採択実現に全力でコミットしてまいります。

