こんにちは。Enememoの加藤です。
「停電が長引いたら、うちの病院や工場はどうなるのか」――近年の自然災害の頻発化を受けて、こうした不安を口にされる施設管理者の方が増えています。BCP(事業継続計画)の重要性が叫ばれる中、実際に非常用発電機や燃料備蓄設備の導入まで踏み込めている施設は、まだ多くありません。
Enememoでは、燃料備蓄分野の補助金申請支援に実際に取り組んできた実績があります。今回は、燃料備蓄・非常用発電の導入に活用できる補助金について、全国で使える経済産業省の制度を中心に解説します。
まず知っておくべき最重要制度:自衛的燃料備蓄補助金(経済産業省資源エネルギー庁)
制度の目的と仕組み
「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」(略称:自衛的燃料備蓄補助金)は、経済産業省資源エネルギー庁が所管し、一般財団法人エルピーガス振興センターが執行団体として運営する、全国どこでも使える補助金です。
大規模災害時に系統電力・都市ガス・水道の供給が途絶した場合でも、避難困難者が多数生じる医療施設・福祉施設・公的避難所等がライフラインの機能を維持できるよう、自衛的な燃料備蓄のためのLPガス災害バルクや石油製品タンク等の設置費用の一部を補助する制度です。目的は、災害発生時にもこれらの施設の機能を3日間以上維持させることです。
【最重要】現在まさに公募期間中です
令和7年度補正・令和8年度分の第2回公募が2026年7月1日(水)〜7月21日(火)に実施中です。この記事をお読みの時点でまだ間に合う可能性があります。燃料備蓄・非常用発電の導入を検討している施設は、今すぐ準備を始めることを強くお勧めします。
対象施設
対象となるのは以下の3区分です。
- 医療施設・福祉施設等:入院施設のある医療施設、人工透析クリニック、老人ホーム等、障害者施設、0歳児入園可の保育所等(ただし、災害拠点病院・特定機能病院・救命救急センター等の一部施設は対象外)
- 公的避難所:市区町村が災害時に避難所として指定した施設(自治体庁舎、公立学校、公民館、体育館等)
- 一時避難所となり得る施設:市区町村が災害時の使用を認知している民間施設(事業所、工場、商業施設、私立学校、宿泊施設等)
工場・商業施設であっても、市区町村から一時避難所としての認知を受けていれば③として対象になり得る点は見落とされがちなポイントです。
補助率・交付限度額
補助金額は、税抜きの補助対象経費に補助率を乗じた金額です。導入する設備の組み合わせによって上限額が変わります。
LPガス災害バルク等
- 容器と供給設備のみ:上限1,000万円
- 上記+補助対象LPガス設備:上限3,000万円
- 上記+発電機(コジェネ含む)+空調機器:上限5,000万円
石油製品タンク等
- 容器のみ:上限1,000万円
- 容器+燃焼機器及び発電機:上限5,000万円
補助率は原則1/2以内ですが、対象施設①に該当し、かつ業務方法書に定める中小企業者の場合は2/3以内に優遇されます。
申請上の重要な注意点
交付決定前の発注は補助対象外です。見積取得や入荷時期の確認は事前に行ってよいものの、発注そのものは交付決定後に行う必要があります。また、事業は原則として交付決定を受けた年度内の2月15日までに完了する必要があり、完了とは設置工事だけでなく支払いの完了までを指します。
採択の優先順位は、①公的避難所(指定避難所・福祉避難所が優先)、②医療・福祉施設等、③一時避難所、の順とされ、同順位内では燃料の保有日数が多い施設が優先されます。
東京都:BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社)
東京都では、公益財団法人東京都中小企業振興公社が「BCP実践促進助成金」を実施しています。策定したBCPを実践するために必要な物品・設備等の導入経費の一部を助成する制度で、非常用発電機・ポータブル電源等の設備もこれに含まれます。
重要な注意点:医療法人・社会福祉法人は対象外
特定非営利活動法人、財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、医療法人及び政治・経済団体は本助成の対象ではありません。つまり、病院・福祉施設が主な対象となる前述の「自衛的燃料備蓄補助金」とは異なり、この東京都の制度は中小企業(工場・商業施設等の事業会社)向けという棲み分けになります。
助成率・限度額
令和8年度は助成限度額が単独型500万円・連携型1,000万円に見直され、助成率は1/2以内(小規模企業者は2/3以内)とされています。申請区分は「単独型」(1事業者が単独で使用)と「連携型」(複数事業者間で共用)の2種類です。
申請前提条件: BCP策定講座の受講等によるBCP策定、または事業継続力強化計画(中小企業庁認定)の認定を受けていることが要件です。令和8年度分については、第1回の申請受付はすでに終了しており、第2回申請受付期間は9月9日(水)〜15日(火)を予定しています。
どちらを検討すべきか:施設種別による判断
病院・診療所・老人ホーム等の医療福祉施設の場合:全国制度である自衛的燃料備蓄補助金が主要な選択肢です。対象施設①に明記されており、中小企業に該当すれば補助率2/3という優遇も受けられます。
工場・商業施設等の一般事業会社の場合:所在自治体から一時避難所としての認知を受けていれば自衛的燃料備蓄補助金の対象になり得ますが、認知を受けていない場合は、東京都内であればBCP実践促進助成金(要BCP策定)を検討する余地があります。
まとめ
燃料備蓄・非常用発電の補助金は、全国どこでも使える経済産業省の「自衛的燃料備蓄補助金」が中核であり、現在まさに第2回公募(2026年7月1日〜21日)が実施されています。医療施設・福祉施設・公的避難所・一部の民間施設が対象で、最大5,000万円・補助率最大2/3という規模の大きな制度です。
東京都では中小企業向けにBCP実践促進助成金という補完的な制度がありますが、医療法人・社会福祉法人は対象外という重要な制約があります。
Enememoは燃料備蓄分野での補助金申請支援の実績があります。「自社の施設がどの補助金の対象になるか」「公募期間に間に合うか」といったご相談も、お気軽にお問い合わせください。

