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2026-08-25
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【解説】川崎市「市内事業者エコ化支援補助金」とは? 太陽光・空調・蓄電池を1本でカバーする制度を整理

こんにちは。Enememoの加藤です。

「太陽光発電と空調設備、両方の更新を考えているが、補助金は別々に探さないといけないのか」「蓄電池だけを対象にした制度が見つからない」。川崎市内で事業を営む経営者様から、こうしたご相談をいただくことがあります。

今回ご紹介する川崎市「市内事業者エコ化支援補助金」は、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー設備、空調・給湯等の省エネルギー型設備、太陽光発電と接続する蓄電池やV2Hまでを、1つの補助金制度で横断的にカバーするという特徴を持っています。複数の補助金を掛け持ちで探す手間を省ける、川崎市内の中小規模事業者にとって使い勝手のよい制度として、詳しく解説します。

制度概要と対象事業者

本補助金は、川崎市内の中小規模事業者が実施する、太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入や、空調設備等の省エネルギー型設備を更新する事業に対して補助金を交付する制度です。

対象となる事業者は、川崎市内に事業所を有する(または新設する)次のいずれかに該当し、かつ一定の従業員数要件を満たす者です。

  • 中小企業基本法上の中小企業者
  • 私立学校法上の学校法人(常時使用する従業員数100人以下)
  • 医療法上の医療法人(常時使用する従業員数300人以下)
  • 社会福祉法上の社会福祉法人(常時使用する従業員数100人以下)

ただし、この4区分すべてが全設備で対象になるわけではありません。 太陽光発電等の再生可能エネルギー源利用設備等は中小企業者・学校法人・医療法人・社会福祉法人のいずれも対象ですが、空調・給湯等の省エネルギー型設備は中小企業者のみが対象とされている点に注意が必要です。学校法人・医療法人・社会福祉法人が空調更新を検討する場合、本補助金の対象外となる可能性があります(後述する神奈川県の補助金であれば対象になり得ます)。

もう一つの必須要件として、完了届の提出時までに「川崎市脱炭素経営アクション推進事業者」の認定を取得することが求められています。申請時点では未取得でも構いませんが、認定取得には中小規模事業者用脱炭素化取組計画書の提出が必要です。

対象設備:太陽光・空調・蓄電池を1つの制度でカバー

本補助金の最大の特徴は、性質の異なる4種類の設備区分を、1本の補助金交付要綱の中で一体的に扱っている点です。

区分1 再生可能エネルギー源利用設備等

  • 太陽光発電設備(50kW未満。ただし10kW以上は自家消費型に限る
  • 太陽熱利用設備
  • 風力発電設備
  • 小水力発電設備
  • 地中熱利用設備
  • バイオマス利用設備
  • 上記の発電設備と接続する蓄電池及びV2H

蓄電池は単独導入ではなく、対象の発電設備と接続するものに限られる点に注意)

区分2 省エネルギー型設備(更新に限る)

  • 空気調和設備(空調)
  • 燃焼設備(ボイラー・給湯設備)
  • 業務用燃料電池
  • 空気調和設備と併せて導入する複層ガラス、遮光フィルム等の建築物外皮

区分3 川崎CNブランド認定製品(令和5〜7年度認定分のうち、要綱別表に定める設備)

区分4 上記1〜3のいずれかと併せて導入するエネルギー管理装置(EMS装置)

区分2・3・4の設備を導入する場合は、神奈川県または川崎市が実施する省エネルギー診断の受診が必須とされています(区分1は任意)。診断の申込みから報告書受領まで、川崎市の省エネ診断の場合で約1か月を要するとされているため、早めの受診が推奨されています。

補助金額:区分ごとに補助率と上限額が異なる

補助金額は設備区分ごとに次のとおり定められています。

  • 区分1(再生可能エネルギー源利用設備等):補助対象経費の3分の1(上限200万円)。太陽光発電設備を含む場合は、発電出力1kWあたり1万円を乗じた加算額(上限20万円)がさらに上乗せされます
  • 区分2(省エネルギー型設備):補助対象経費の4分の1(上限150万円)。川崎CNブランド認定製品(要綱別表4該当)を導入する場合は、補助対象経費の20分の1(上限50万円)の加算があります
  • 区分3(川崎CNブランド認定製品、別表5該当):補助対象経費の4分の1(上限150万円)
  • 区分4(EMS装置):併せて導入する設備の補助金額(補助率・上限額)を適用

例えば、太陽光発電設備と蓄電池を同時に導入する場合は区分1として扱われ、補助対象経費の3分の1(上限200万円)に太陽光の出力加算(上限20万円)が加わる一方、空調設備の更新は区分2として補助対象経費の4分の1(上限150万円)が別枠で適用される、という整理になります。1つの要綱の中で複数の設備を組み合わせて申請することも制度上想定されていますが、補助対象経費が50万円以上の事業であること、同一事業者への交付は年度内1件までであることが共通要件として定められている点にご留意ください。

募集期間は令和9年1月12日まで

本補助金の募集期間は、令和8年4月1日から令和9年1月12日までです。予算の上限に達した場合は、申請書を受理した順で募集の受付を終了する運用のため、早めの準備をお勧めします。

令和8年度予算は9,680千円(約968万円)で、令和8年7月6日時点の執行率見込みは約33パーセント(残額約645万円)と公式ページに掲載されています。(記載時点の執行状況であり、今後変動する点にご留意ください)

このほか、次のスケジュール・手続き上の注意点があります。

  • 契約可能日は交付決定通知日以後。工事契約や発注を交付決定通知日より前に行うと補助対象外となります
  • 完了届の提出期限は令和9年3月15日。設置工事の完了(工事または支払い)から30日以内の提出が求められます
  • 申請の前提として、事前相談票の提出が必須です。これを提出しないと補助金の申請自体ができません

神奈川県の補助金とも併用可能

川崎市の公式ページには、神奈川県が実施する2つの補助金について、本補助金との併用が可能である旨が明記されています。それぞれの制度内容を、神奈川県が公表している令和8年度版の手引きで確認しました。

① 神奈川県「自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」

太陽光発電設備を含む自家消費目的の再エネ発電設備や、併せて導入する蓄電システムへの補助金です。市内事業者エコ化支援補助金とも併用可能と川崎市公式ページに明記されています。主な内容は次のとおりです。

  • 太陽光発電:発電出力10kW以上が要件。補助額は1kWあたり8万円(かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証を受けた場合は1kWあたり2万円上乗せ)
  • 蓄電システム:太陽光発電設備と併せて設置するものに限り、1kWhあたり5万円(補助対象経費と500万円のいずれか低い方が上限)
  • 自家消費率50パーセント以上、FIT・FIP不適用等の要件あり
  • 交付申請期間は令和8年4月30日(木)から令和9年2月26日(金)まで。ただし、予算額を超える申請があった時点で受付を終了する先着順の運用

② 神奈川県「中小企業省エネルギー設備導入費等補助金」

空気調和設備、LED照明設備、ボイラー、給湯設備、コンプレッサー、変圧器、冷凍冷蔵設備等の更新や、既存設備の保守・機能向上(薬液洗浄、室外機の日射対策、インバータ化、配管の保温等)を対象とした補助金です。市内事業者エコ化支援補助金と併用可能と川崎市公式ページに明記されています。主な内容は次のとおりです。

  • 対象者は「中小企業等」であり、中小企業者だけでなく、学校法人、一般社団法人等、医療法人、社会福祉法人、中小企業団体等も対象に含まれます
  • 補助率は補助対象経費の3分の1、上限500万円(かながわ再エネ電力利用認定事業者またはかながわ脱炭素チャレンジャーの場合は上限600万円)
  • 補助事業の実施により削減されるエネルギー起源CO2排出量が年間3トン以上であることが要件
  • 申請期間は令和8年6月1日(月)から11月30日(月)まで。予算額を超える申請があった時点で受付を終了する先着順の運用
  • 手引きには「本補助金については、国や市町村の補助金との併用が可能です。ただし、本補助金と国や市町村の補助金の交付要件等は異なりますので、各補助金の交付要件等もご確認ください。また、本補助金と国等の補助金との合計額が補助対象経費を超えることはできません」と明記

この県補助金の対象者に学校法人・医療法人・社会福祉法人が含まれる点は、川崎市の区分2(空調等)が中小企業者のみを対象としているのと対照的です。 川崎市内の学校法人・医療法人・社会福祉法人が空調設備等の更新を検討する場合、川崎市の補助金では対象外であっても、神奈川県の中小企業省エネルギー設備導入費等補助金であれば対象となる可能性があります。

併用にあたっての注意点

川崎市内の中小規模事業者にとっては、太陽光・蓄電池・空調のいずれについても、市の補助金に加えて県の補助金を組み合わせる余地があるということです。ただし、次の点にご注意ください。

  • いずれの県補助金も、補助金の合計額が補助対象経費を超えることはできません(自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金は要綱上の一般原則、中小企業省エネルギー設備導入費等補助金は手引きに明記)
  • 県補助金・市補助金それぞれで、申請期間・交付決定のタイミング・提出書類が異なります。特に自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金は令和9年2月26日まで、中小企業省エネルギー設備導入費等補助金は令和8年11月30日までと、川崎市の補助金(令和9年1月12日まで)ともずれがあります
  • いずれの制度も、交付決定前の着工・契約は原則補助対象外です。県・市それぞれの交付決定を待ってから着工する必要があり、スケジュール管理が煩雑になる点にご留意ください

まとめ

川崎市「市内事業者エコ化支援補助金」は、太陽光発電等の再エネ設備、空調・給湯等の省エネ設備、それらと接続する蓄電池・V2Hまでを1つの補助金制度でカバーする、複合型の制度です。中小企業者に加え、学校法人・医療法人・社会福祉法人も対象事業者に含まれますが、空調等の省エネルギー型設備は中小企業者のみが対象である点には注意が必要です。

補助金額は設備区分ごとに異なり、再エネ設備等は補助対象経費の3分の1(上限200万円、太陽光出力加算あり)、省エネ設備は補助対象経費の4分の1(上限150万円)です。募集期間は令和9年1月12日までですが、予算上限に達し次第、受理順で終了する運用のため、事前相談票の提出や省エネ診断の受診を含め、早めの行動をお勧めします。

さらに、神奈川県の自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金・中小企業省エネルギー設備導入費等補助金のいずれとも併用が可能であり、特に後者は市の補助金が対象外とする学校法人・医療法人・社会福祉法人の空調更新等もカバーする点で、川崎市内の非営利法人にとって補完的な選択肢となります。

Enememoでは、川崎市の補助対象区分の整理から、脱炭素経営アクション推進事業者の認定取得サポート、神奈川県補助金との併用スケジュール調整まで一括でサポートしています。「自社の設備はどの区分に該当するか」「県の補助金と組み合わせられるか」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。