こんにちは。Enememoの加藤です。
「太陽光と蓄電池の補助金はよく聞くが、うちはまず古い空調を何とかしたい」「空調やボイラーの更新だけでも使える補助金はあるのか」。神奈川県内で事業を営む経営者様から、こうしたご相談をいただくことがあります。
今回ご紹介する神奈川県「中小企業省エネルギー設備導入費等補助金」は、太陽光発電・蓄電池とは別軸で、空調・給湯・照明・冷凍冷蔵設備等の既存設備の更新や保守を対象とした補助金です。以前ご紹介した「自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」とセットで押さえておきたい制度として、詳しく解説します。
制度の目的と対象事業者
本補助金は、中小企業等が省エネルギー設備の更新・保守等に係る経費の一部を補助することで、脱炭素化を推進することを目的としています。
対象となる「中小企業等」は、中小企業基本法上の中小企業者に加えて、学校法人、一般社団法人等、公益社団法人、公益財団法人、特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人、中小企業団体まで幅広く含まれます。中小企業者の業種別基準は次のとおりです。
- 製造業その他:資本金3億円以下または従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
- 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
- サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
対象設備:空調・照明・給湯・冷凍冷蔵まで幅広くカバー
補助対象となる事業は、「既存設備の更新事業」「既存設備の保守又は機能向上に係る事業」の2種類です。
既存設備の更新事業(法定耐用年数を経過していることが要件)
- 空気調和設備(空調)
- LED照明設備(誘導灯を含む。光源部のみの交換等は除く)
- ボイラー(燃料転換による更新を含む)
- 給湯設備
- コンプレッサー
- 変圧器
- 冷凍冷蔵設備(家電に類するものは除く)
- ガスコジェネレーションシステム
- エネルギーマネジメントシステム
- 上記以外で、省エネルギー診断により提案があり知事が適当と認めるもの
既存設備の保守又は機能向上に係る事業(過去に受診した省エネルギー診断で提案を受けている必要あり)
- 空気調和設備の薬液洗浄(オーバーホールを含む)
- 空気調和設備の室外機の日射対策(遮熱塗料の塗装を含む)
- 既存設備のインバータ化
- 既存設備の配管の保温、空気漏れ・漏水の防止
空調更新を検討している事業者にとって、単に空調機器を入れ替える「更新事業」だけでなく、既存の空調設備を活かした「薬液洗浄」や「室外機の遮熱塗装」といった、より低コストな保守・機能向上策も補助対象に含まれる点は見落とされがちなポイントです。
補助対象の要件:排出量削減3トン以上、トップランナー基準達成が条件
補助事業として認められるには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 所有権を有し、事業の用に供する県内の土地または建物において実施する事業であること
- 既存設備及び導入する設備の所有権を有すること(共有を除く)
- 導入する設備がすべて未使用品であること
- 補助事業の実施により削減されるエネルギー起源二酸化炭素排出量が年間3トン以上であること
- 更新事業(番号1〜10)を実施する場合、導入設備がトップランナー制度の省エネ基準達成率100パーセント以上等、一定の基準を満たしていること
- 温室効果ガス削減効果についてJ-クレジット制度への登録を行わないこと
- リース契約及び割賦販売契約に基づき設置する設備、複数事業者で共有する設備は対象外
- 補助金の交付申請の際、補助事業に着手していないこと(着手日は設置工事等の着工日)
空気調和設備を更新する場合の年間3トン以上という排出量削減要件は、例えば電力使用量が年間6,700kWh削減される場合に相当する水準(6,700kWh×0.452÷1,000≒3.03t-CO2)が手引きに示されており、小規模な空調更新では要件を満たせない可能性もある点にご注意ください。
なお、リース契約による設置は補助対象外である点は、太陽光発電設備を対象とした「自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」がリースやPPAモデルを認めているのと対照的です。空調設備は原則として自己所有での導入が前提となります。
補助金額:補助対象経費の3分の1、上限500万円(認定事業者は600万円)
補助額及び上限額は次のとおりです。
- 補助額:補助対象経費の3分の1
- 上限額:500万円(かながわ再エネ電力利用認定事業者またはかながわ脱炭素チャレンジャーの場合は600万円)
補助対象経費は、設計費、設備費、工事費です。一方、排出量削減と関係のない機能追加費用、予備・将来用の経費、既存設備と用途が異なる設備の導入費用、中古設備の導入費用、リース・割賦契約に基づく設備の費用、撤去費・処分費、振込手数料等は補助対象外とされています。
申請期間は令和8年11月30日まで
交付申請期間は、令和8年6月1日(月)から令和8年11月30日(月)までです。申請期間内であっても、令和8年度の予算額を超える申請があった時点で受付を終了する運用のため、早めの準備をお勧めします。
このほか、次のスケジュール上の注意点があります。
- 交付決定前に着手(設置工事等の着工)した場合は補助対象外。ただし、着手していなければ、交付申請前であっても契約を締結することは可能
- 補助事業の完了(工事完了かつ支払完了)は令和9年3月31日までに済ませる必要があり、実績報告書の提出期限は補助事業完了の日から2か月以内または令和9年4月15日のいずれか早い日
- 事業完了後1年間の実績(排出量削減量等)について、導入効果報告書の提出が別途必要
国や市町村の補助金との併用について、手引きには「本補助金については、国や市町村の補助金との併用が可能です。ただし、本補助金と国や市町村の補助金の交付要件等は異なりますので、各補助金の交付要件等もご確認ください。また、本補助金と国等の補助金との合計額が補助対象経費を超えることはできません」と明記されています。
相模原市の複合型制度にも要注目
神奈川県内で空調更新を検討する事業者にとって、もう一つ押さえておきたいのが、相模原市「中小規模事業者省エネルギー設備等導入支援補助」です。
この制度は、高効率空調設備、高効率照明設備、高効率給湯設備、高効率ボイラー設備、冷凍冷蔵設備、変圧器等の省エネルギー設備に加え、太陽光発電設備・蓄電池も同一の補助金で扱う複合型の制度です。基本の補助額は補助対象経費の3分の1以内、上限100万円ですが、太陽光発電設備・蓄電池を導入する場合は特例措置として加算があり、太陽光は1kWあたり5万円(上限20kW、100万円)、蓄電池は容量に応じて1kWhあたり5.1万円または6.3万円(上限20kWh、102万円または126万円)が上乗せされます。
ただし、令和8年度分の募集期間は令和8年5月15日から10月30日までであり、申請の前提となる「地球温暖化対策計画書」の提出(令和8年9月30日まで)や、相模原商工会議所による省エネアドバイザー派遣の活用が必要です。相模原商工会議所の省エネアドバイザー派遣は、令和8年度分の計画書・補助金申請のための受付をすでに終了していると相模原市公式ページに明記されています。したがって、今から相模原市内で本制度を新規に活用しようとする事業者は、必要な事前手続きが間に合わない可能性が高い点にご注意ください。
まとめ
神奈川県「中小企業省エネルギー設備導入費等補助金」は、太陽光・蓄電池とは別軸で、空調・照明・給湯・冷凍冷蔵設備等の更新や保守を対象とした補助金です。補助対象経費の3分の1(上限500万円、認定事業者は600万円)が補助され、対象には中小企業者だけでなく学校法人・医療法人・社会福祉法人等も含まれます。申請期間は令和8年11月30日までですが、予算額に達し次第、期間内でも受付を終了する運用のため、早めの行動をお勧めします。
相模原市内の事業者様には、省エネ設備と太陽光・蓄電池を1つの補助金でカバーする「中小規模事業者省エネルギー設備等導入支援補助」という選択肢もありますが、令和8年度分は事前手続き(省エネアドバイザー派遣)の受付がすでに終了している点にご注意ください。
Enememoでは、神奈川県の空調更新向け補助金の対象設備・要件の整理から、排出量削減効果の算定、申請書類の作成まで一括でサポートしています。「自社の空調更新は対象になるか」「排出量削減要件を満たせそうか」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。

