こんにちは。Enememoの加藤です。
補助金を活用した設備更新を検討している方から、「今年はどの補助金が使えますか?」「公募はいつ始まりますか?」というご質問を多くいただいています。2026年の経済産業省関連補助金の情報が出揃ってきましたので、今回は現時点(2026年3月)で判明している情報を整理してお伝えします。
例年通りの仕組みもあれば、今年から大きく変わった点もあります。特に、省エネ補助金(SII補助金)における「GXリーグ要件に応じた補助率・補助額の分岐」は、申請する設備の選び方に直接影響する重要な変更です。ぜひ最後までご確認ください。
まず押さえておくべき「財源の2種類」
経産省所管の補助金の財源は、大きく2種類に分かれます。
一つ目は令和7年度補正予算(2025年12月16日成立済み)を財源とするものです。この予算はすでに国会で成立しているため、事務局の準備が整い次第、公募を開始することができます。
二つ目は令和8年度本予算(現在審議中)を財源とするものです。前回のコラムでご説明した通り、2026年1月の通常国会冒頭解散の影響で本予算の成立が遅れており、この財源を使う補助金は本予算成立後でなければ公募を開始できません。
この区別が、2026年の補助金スケジュールを理解するうえで最も重要な前提です。以下では、補正予算ベース・本予算ベースそれぞれの主要な補助金を整理します。
【令和7年度補正予算ベース】省エネ・非化石転換補助金(SII補助金)
事業者向け省エネ補助金の中核をなす制度が「省エネ・非化石転換補助金」(通称:SII補助金)です。資源エネルギー庁の令和7年度省エネ支援パッケージによれば、令和5年度補正予算から3年間で7,000億円規模の予算を投じてきたこの補助金の「最終年度」として、令和7年度補正予算では総額675億円(国庫債務負担行為含む総額)が手当てされています。
SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)のホームページでは、1次公募を2026年3月30日(月)より受付開始と発表されています。これは例年の1次公募開始(3月下旬〜4月上旬)とほぼ同じタイミングであり、この補助金については例年並みのスケジュールで動いていると言えます。
申請類型は以下の4つで、こちらも例年と同じ枠組みが継続されます。
(Ⅰ)工場・事業場型:工場・事業場全体での大幅な省エネ取組を支援。先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン(SC)連携枠の4枠構成。補助率は中小1/2、大企業1/3(一定要件を満たす場合は中小2/3、大企業1/2)、上限15〜40億円
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型:化石燃料から電気や低炭素燃料への転換を支援。補助率1/2以内、上限3〜5億円
(Ⅲ)設備単位型:SIIの指定設備リストから選択して導入する類型。補助率は中小1/3、大企業1/4(一定要件で中小1/2)、上限1億円(通常枠)
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型:EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入を支援。補助率は中小1/2、大企業1/3、上限1億円
今年最大の変更点:「GXⅢ類型(GX設備単位型)」の新設
今年から設備単位型(Ⅲ型)に大きな変更が加わりました。従来の設備単位型に加え、新たに「GXⅢ類型(GX設備単位型)」が創設されたのです。これが、2026年の省エネ補助金で最も注目すべき変更点です。
GXⅢ類型には、「トップ性能枠」と「メーカー強化枠」の2種類があります。
トップ性能枠は、既存の省エネ水準を大きく上回る最高性能の設備を導入する場合の申請枠です。補助率は更新1/2以内・新設1/5以内、上限3億円となっています。従来の設備単位型(上限1億円)と比較して補助上限額が3倍になっており、最高性能機器を導入する場合には大きな優遇を受けられます。また、これまで補助対象外だった設備の新設(既設置でない新規導入)も補助対象に加わった点も注目です。
メーカー強化枠は、従来のⅢ類型(通常の設備単位型)の補助対象設備のうち、GX要件にコミットするメーカーが製造する設備について、別枠(GX予算)から増額支援を行う仕組みです。
GXリーグ要件とは何か、なぜ補助額が変わるのか
資源エネルギー庁の令和7年度省エネ支援パッケージによれば、GXメーカー強化枠における「GX要件」とは、①次期GXリーグへの参加、②企業の成長(コスト競争力の向上・海外市場の獲得等)につながる今後の方針の策定、③必要な人材確保に向けた継続的な賃上げ等への取組——の3点へのコミットです(要件詳細は公募時に確定)。
この要件を満たすメーカーが製造する設備については、従来の省エネ特別会計予算(エネ特)100億円とは別に、GX推進法関連予算550億円のうち約250億円程度が割り当てられる見込みです。
申請者(ユーザー企業)に対してGX要件へのコミットは求められません。しかし、申請しようとしている設備が「GXリーグ要件を満たすメーカーの製品」として登録されているかどうかによって、受け取れる補助額が変わる可能性があります。SIIのホームページでは、指定設備における「GX要件に係る提出書類」「製品型番リスト」がすでに公開されていますので、設備選定の段階でこの点を確認しておくことが重要です。
空調や変圧器、LED照明など複数の設備をご検討中の方は、候補機器がどちらの枠に登録されているかを確認したうえで、補助額を比較することをお勧めします。
例年との相違点・注意すべき変更点まとめ
今年の省エネ補助金(SII補助金)における主な変更点を整理すると、次の通りです。
まず設備単位型に新たに「GXⅢ類型(GX設備単位型)」が加わり、トップ性能枠・メーカー強化枠の2枠が創設されました。これにより、同じ設備でもGXリーグ要件を満たすメーカー製かどうかで補助額の水準が変わります。
次に電化・脱炭素燃転型では、2026年から水素対応設備等が補助対象に追加されました。さらに設備の新設・改造も補助対象に加わり(工事費は中小企業のみ適用、ただし水素対応改造に限り大企業も可)、対象範囲が拡大されています。
工場・事業場型では、サプライチェーン(SC)連携枠が本格的に稼働します。サプライチェーン上の4者以上が連携して省エネ計画を策定・実施する場合に省エネ要件が優遇される枠で、2026年から実施される新設枠です。GX要件へのコミットが求められる点も特徴です。
一方で、申請の基本的な流れ(補助事業ポータルへのアカウント登録、交付申請書の郵送提出、採択後の省エネ量報告等)や、補助率の基本構造(Ⅰ型:中小1/2・大企業1/3等、Ⅳ型:中小1/2・大企業1/3等)は例年と大きく変わっていません。
【令和8年度本予算ベース】成立後に公募開始となる補助金
令和8年度本予算を財源とする補助金については、本予算が成立した後に公募が始まります。現在、先進的省エネルギー投資促進支援事業(いわゆる「先進的省エネ補助金」)がこれにあたります。この補助金は、SII補助金よりも高い補助率が期待できる反面、申請要件や省エネ要件が厳しく設定される傾向があります。令和7年度(2025年度)の実績でも、公募は4月以降に順次開始されました。
また、令和8年度本予算にはエネルギー対策特別会計として1兆4,551億円が計上されており、うち省エネ設備の補助金として省エネルギー投資促進支援事業費補助金(複数年度事業継続分)に840億円が予算化されています(既採択の複数年度事業の継続分)。なお、令和8年度予算は議会審議中のため、内容・スケジュールは成立後の公式発表を確認する必要があります。
「採択を勝ち取る」にこだわり続けるEnememoが、今できることをお伝えします
2026年の経産省補助金をまとめると、補正予算ベースのSII補助金(省エネ・非化石転換補助金)は3月30日から1次公募が始まっており、今すぐ申請に向けた動きを始めることができます。一方、本予算ベースの補助金は予算成立後の公募開始となります。
今年、申請を検討している企業が今からできることとして、まず候補設備がSIIの指定設備リスト(GX要件有無を含む)に登録されているかを確認することをお勧めします。次に、申請類型の選択です。Ⅰ型(工場・事業場型)かⅢ型(設備単位型)か、あるいは新設のGXⅢ類型かによって、補助率・補助額・必要書類がまったく異なります。設備のスペックと自社の省エネ目標に合わせた類型選択が重要です。そして省エネ率の試算・データ収集です。申請には現在のエネルギー使用実績データが不可欠であり、収集には時間がかかります。Enememoでは試算のレビューと改善提案も行っています。
「どの枠で申請すれば最も有利か」「候補設備はGX類型に対応しているか」「省エネ率の計算に自信がない」といったご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。採択実績にこだわるEnememoが、計画段階から伴走してまいります。

