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2026-05-21
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【解説】系統用蓄電池(FoM)に使える補助金とは? 2026年の主要制度を整理

こんにちは。Enememoの加藤です。

前回記事では系統用蓄電池(FoM)と需要側蓄電池(BtM)のビジネスモデルの違いを解説しました。今回は、系統用蓄電池への参入を検討している事業者が最初に確認すべき「補助金」の全体像を整理します。

系統用蓄電池向け補助金は大型案件を前提とした制度設計であり、補助上限額や補助率の水準は他の省エネ補助金と比べて規模感が全く異なります。また、2026年(令和8年)現在の補助金スケジュールには、例年と異なる点が複数あります。今回は国(SII経由)の2制度に加え、東京都が独自に実施している系統用蓄電池向けの助成制度も含めて解説します。「補助金があると聞いた」という段階から一歩進んで、各制度の現状を正確に理解するために是非ご覧ください。

系統用蓄電池向け補助金の全体像

系統用蓄電池(FoM)向けの補助金には、国と東京都それぞれの制度があります。国の制度は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が経済産業省の委託を受けて執行し、東京都の制度は公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)が執行します。

現在FoM向けに活用できる主な補助金は以下の3本立てです。

 ① 系統用蓄電システム等導入支援事業(国・SII:令和7年度補正):系統直結型の大規模蓄電池単体向け

 ② 再エネ電源併設蓄電システム等導入支援事業(国・SII:令和7年度補正):再エネ電源に蓄電池を併設する発電事業者向け

 ③ 再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業(東京都・クール・ネット東京:令和8年度):東京電力管内限定の都独自助成

①と②は全国を対象とする国の補助金、③は東京電力管内に設置する案件に限られる東京都独自の制度です。案件の設置エリアによっては①または②と③を組み合わせて活用できる可能性があります。なお東京都の制度には明示的に「国等の補助金と併給する場合でも合計3分の2以内」という上限規定があるため、単純に積み上げられるわけではなく、併給設計には注意が必要です。

①   系統用蓄電システム等導入支援事業(令和7年度補正・SII)

事業の目的と位置付け

本事業は、電力系統に直接接続する系統用蓄電池の導入を支援するための補助金です。令和7年度補正予算を財源とし、SIIが執行します。余剰再エネの吸収や調整力の供出が可能な系統用蓄電池を普及させることで、再エネポテンシャルを最大限に引き出し、電力バランスを改善することを目的としています。本補助金は、令和3年度補正から継続して実施されており、2026年は「令和7年度補正」として組成されています。

2026年5月時点の最新状況:公募前・GX要件の追加が決定

注意: 本事業は2026年5月21日現在、まだ公募が開始されていません。SIIの公式ページ(2026年5月14日更新)では、以下の重要な情報が公表されています

本事業はGX関連予算の補助金であり、個社単位で①2030年度の直接・間接排出量目標、及び②自社のGX需要創出に係る2つ以上のコミットメントを提出しているGXフューチャー・リーグ会員であることが応募要件として求められる方針です(中小企業は除く)。

GXフューチャー・リーグへの加入には所定の手続きが必要であり、公募が始まってから動いても間に合わない可能性があります。本事業への参入を本格的に検討している中大規模事業者は、今すぐGXフューチャー・リーグへの加入手続きを開始することが必要です。公募スケジュール・補助率・補助上限額等の詳細については、SIIの公式ページにて随時公表される予定です。

例年の制度概要(令和7年度本予算分の実績を参照)

公募前のため確定情報は限られますが、直近の令和7年度(本予算)事業の公募要領を参照すると、以下の内容で実施されていました。

  • 補助対象:電力系統に直接接続する系統用蓄電池。余剰電力発生時に充電し、電力不足時に放電するか、調整力等を供出することで再エネの有効活用に寄与するもの。一般送配電事業者の変電所や発電所への併設は除く
  • 補助率・補助上限:設備種別により1/3〜2/3以内、補助上限は最大40億円
  • 申請方式:jGrants(電子申請システム)による申請
  • 採択後の義務:運用開始後3年間、SOCデータ・市場取引データ等の詳細な運用データをSIIまたは国に報告することが求められる

②   再エネ電源併設蓄電システム等導入支援事業(令和7年度補正・SII)

事業の目的と位置付け

こちらも令和7年度補正予算を財源とし、SIIが執行する補助金です。既存または新設の再エネ電源(太陽光・風力・バイオマス等)に蓄電池を新たに併設する発電事業者を対象としており、FoMの中でも「再エネ電源と蓄電池をセット運用するモデル」に特化した制度です。

出力制御が多い九州・東北・中国・四国エリアで再エネ発電所を運営している事業者を主な対象として想定しており、FIP制度への移行による再エネの電力市場への統合を促すことも目的の一つとされています。

2026年の公募状況

本事業の1次公募は2026年3月24日(火)〜2026年5月29日(金)12:00必着で実施されました。2次公募の有無・スケジュールについては、SIIの公式ページで随時確認が必要です。

制度の主な概要

  • 補助対象事業:太陽光・風力・バイオマス等の再エネ電源設備に蓄電システムを新たに併設する発電事業者の導入事業。FIP認定型・市場等取引型・オフサイトPPA型の3区分
  • 補助率
    • リチウムイオン電池(LiB):1/3〜1/2
    • リユース蓄電池:1/2
    • 長期エネルギー貯蔵技術(LDES):最大2/3
  • 補助上限額:設定なし(大規模案件でも全額が補助対象になりうる)
  • 申請方式:jGrants(電子申請システム)による申請

③   再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業(東京都・クール・ネット東京)

事業の目的と位置付け

東京都が「ゼロエミッション東京」の実現に向け、変動型再生可能エネルギーの導入拡大のための大規模な調整力を確保することを目的として独自に実施している助成制度です。公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)が執行機関を担います。

東京電力管内という地域限定の制度ですが、国の補助金(①)と組み合わせることが明示的に認められており、首都圏における系統用蓄電池ビジネスでは国の補助金と都の助成金の「ダブル活用」が視野に入ります。

2026年の公募状況

東京都の報道発表資料(2026年3月30日)によると、令和8年度の助成事業として以下の内容が公表されています。

  • 助成対象:東京電力管内の電力系統に直接接続する大規模蓄電池
  • 助成率:助成対象経費の2/3以内
    • 国等の補助金と併給する場合でも、合計2/3以内
  • 対象期間:令和8年度から令和16年度まで(令和8年度申請分)
  • 注目の変更点:大規模蓄電池導入に伴い必要となる系統線への接続工事(一般送配電事業者が行う工事)の長期化に対応するため、案件ごとの対象期間を一律で約9年に延長
  • 採択方式:要件審査および採点審査方式により、電力系統側への定格出力規模に応じて採択件数を予定
  • 実施要項公開:令和8年4月1日(水)にクール・ネット東京のHPに掲載済み
  • 申請受付開始:令和8年9月1日〜9月30日(17:00必着)
  • 主な要件:都の要請に応じて電力需給ひっ迫時における東京電力管内への電気の供給に努めること、法令・規程・東京電力との系統連系協議等に基づいた適切な対策等を実施すること

東京都制度のポイント:国補助金との併給設計に注意

本制度の助成率は「国等の補助金と併給する場合でも合計3分の2以内」と規定されています。つまり、国のSII補助金(①)で仮に1/3の補助を受けた場合、東京都の助成(③)はさらに最大1/3上乗せできる計算になります。ただしこの上限(合計2/3)は事業者にとって非常に有利な設計であり、国補助金との最適な組み合わせを設計することが補助総額最大化のカギとなります。

また本制度は申請受付が9月1日〜30日と期間が短く、事前の実施要項の熟読と書類準備を相当前から進める必要があります。

申請前に確認すべき重要ポイント

①「GXフューチャー・リーグ」への加入が急務

国のSII補助金(①)は中小企業を除く法人に対してGXフューチャー・リーグへの加入が要件化される方針です。公募開始後に動いては間に合わない可能性があるため、今すぐ加入手続きを進めることをお勧めします。

②「ウェルカムゾーン」の確認

過去の公募要領で参照が求められた全国10エリアの一般送配電事業者によるウェルカムゾーンマップ(新たな大規模送電線の建設が不要で早期に電力供給を開始できる設置場所)は、設置場所選定の重要な判断材料となります。事前確認を推奨します。

③ 東京都の補助金は「9月申請」に向けて今から準備

東京都の③は申請期間が9月1日〜30日のわずか1か月間です。実施要項はすでにクール・ネット東京のHPに公開されているため、今から要件の確認と事業計画の準備を進めておくことが採択への近道です。

④ 市場取引計画の策定が採択の鍵

いずれの補助金でも、導入後に各種電力市場(卸電力市場・需給調整市場・容量市場等)を通じた取引を実施し、報告義務を果たすことが前提となっています。申請段階から具体的な電力市場での取引戦略と収益モデルを提示できるかどうかが採択を左右します。

まとめ

系統用蓄電池(FoM)向け補助金の2026年の状況を整理すると、国のSII補助金は「再エネ電源併設型の1次公募が締め切り間近」「系統直結型は公募準備中(GX会員要件追加)」、東京都は「9月受付開始」という状況です。複数制度の組み合わせが可能なため、案件の規模・設置エリア・事業スキームに応じた最適な補助金設計が重要になります。

「SIIとクール・ネット東京の両方に申請できるか整理したい」「GXフューチャー・リーグへの加入手続きとあわせてどう動くべきか」「そもそも自社案件は系統用蓄電池補助金の対象になるか」といったご相談もお気軽にEnememoへどうぞ。

次回記事では、需要側蓄電池(BtM)に活用できる補助金の詳細をお伝えします。