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2026-08-12
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【解説】堺市「余剰電力等活用型太陽光発電設備整備事業」とは? 令和8年度の申請要件・補助率を整理

こんにちは。Enememoの加藤です。

「太陽光発電を導入したいが、自家消費しきれない電力はどうなるのか」「売電先を自分で探すのは手間がかかる」。大阪府堺市で事業を営む経営者様から、こうしたご相談をいただくことがあります。

今回ご紹介するのは、堺市が実施する「堺エネルギー地産地消プロジェクト推進事業補助金(余剰電力等活用型太陽光発電設備整備事業)」です。屋根に設置した太陽光発電設備でつくった電力のうち、自社で使い切れない余剰電力を、市が指定する小売電気事業者へ売却することで、堺市の再エネ地産地消の仕組みに参加できるという、他の自治体にはあまり見られない特徴を持つ制度です。国の「脱炭素先行地域」に選定された堺市ならではの取組として、内容を詳しく解説します。

堺エネルギー地産地消プロジェクトとは

堺市は、2050年カーボンニュートラルへのステップとして、2030年度までに民生部門における電力使用に伴うCO2排出実質ゼロの実現をめざし、国の脱炭素先行地域に選定された「堺エネルギー地産地消プロジェクト」を推進しています。

このプロジェクトでは、都市部における再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活用し、市内産の再エネ電力を市有施設に供給する取組を進めています。本補助金は、そのための拠点となる太陽光発電設備を市内の建物に導入する事業者を支援するものです。

仕組みの核心:余剰電力を市指定の小売電気事業者へ売却

本補助金の最大の特徴は、発電した電力のうち自家消費しきれなかった余剰電力を、市が指定する小売電気事業者に売却するという点です。売却された余剰電力は、小売電気事業者が複数の設備分を束ねてアグリゲーションを行い、堺市の市有施設に再エネ電力として供給される仕組みです。

売電価格は8円/kWh(消費税等別)と定められており、原則として20年間にわたりこの契約を継続することが補助要件とされています。単なる余剰電力の廃棄や系統への逆潮流ではなく、地域内で再エネを循環させる仕組みに組み込まれる点が、一般的な太陽光発電の自家消費型補助金とは異なります。

補助対象事業と主な要件

補助対象となるのは、次の要件をすべて満たす事業です。

  • 太陽光発電設備をPPA方式、リース方式または自己所有方式により新規に設置し、需要家が自家消費を行うものであること
  • 太陽光発電モジュールを屋根等に設置するものであること
  • 太陽光発電設備の年間発電量に占める年間自家消費量の割合が、30パーセント以上80パーセント未満であること
  • 第三者への売却を前提とした設備の設置を行わないこと
  • 原則として20年間、市が指定する小売電気事業者に余剰電力を売却する契約等が締結されること(売電価格8円/kWh、税別)
  • 堺市と地域脱炭素の推進に関する協定が締結されること
  • 2030年度までに、太陽光発電設備を設置した建物で使用されるすべての電力を市内産の再エネ100パーセント電力に切り替えること
  • FIT(固定価格買取制度)またはFIP(Feed in Premium)制度の認定を取得しないこと
  • 令和9年1月31日までに事業を完了すること(単年度事業枠の場合)

自家消費率が30パーセント未満、あるいは80パーセント以上となる設計の場合は対象外となる点にご注意ください。自家消費と余剰売電のバランスが要件として明確に定められている制度です。

募集対象は、堺市内に所在する建物(住宅を除く)に太陽光発電設備を設置するPPA事業者、リース事業者、需要家等です。

また、需要家の企業規模は中小企業または中堅企業(従業員数2,000名以下の企業)であることが要件とされています。自己所有以外の場合は、PPA事業者またはリース事業者が代表事業者となり、需要家と共同で申請する必要があります。

補助対象経費と補助率

補助対象経費は、太陽光発電設備の設置に要する工事費、設備費、業務費及び事務費です。ただし、施工単価が20万円/kW(パネル重量5kg/m2以下の場合は25万円/kW)を超える部分は補助対象経費から除外される点に注意が必要です。また、消費税及び地方消費税、振込手数料も補助対象外です。

補助率は、設置する太陽光発電設備の余剰率(総発電量に占める余剰電力量の割合)に応じて段階的に設定されています。

  • 余剰率40パーセント以上70パーセント未満:補助率1/2
  • 余剰率30パーセント以上40パーセント未満:補助率1/3
  • 余剰率20パーセント以上30パーセント未満:補助率1/4

余剰率が高いほど補助率も高くなる設計であり、余剰電力を多く売却する計画ほど支援が手厚くなる仕組みです。逆に余剰率が20パーセント未満の場合は、この補助率表の対象外となるため、申請前に発電量シミュレーションで余剰率を確認しておく必要があります。

募集期間は単年度事業枠で令和8年11月30日まで

本補助金には、「単年度事業枠」と「2か年度事業枠」の2つの採択枠が設けられています。

  • 単年度事業枠:令和8年6月4日(木)から令和8年11月30日(月)17時まで(先着順)
  • 2か年度事業枠:令和8年6月4日(木)から令和9年2月26日(金)17時まで(先着順)

いずれも先着順であり、補助金交付申請予定総額が各採択枠の予算上限に達した時点で、当該枠の募集が早期終了します。また、原則として単年度事業枠で事業に着手した後に2か年度事業枠へ変更することはできないとされています。

単年度事業枠を選んだ場合、事業完了期限は令和9年1月31日、実績報告は事業完了後30日以内に行う必要があります。

申請の流れと実務上の注意点

単年度事業枠における事業の流れは、大きく次のとおりです。

  1. 事前協議(申請前に市と事業計画等について協議)
  2. 補助事業申込(交付申請、令和8年11月30日まで)
  3. 採択・交付決定
  4. 補助事業実施(設置工事)
  5. 協定締結(市との地域脱炭素の推進に関する協定)
  6. 事業完了(令和9年1月31日まで)
  7. 実績報告(事業完了後30日以内)
  8. 検査・額の確定
  9. 請求・補助金交付

特に重要なのは、市の交付決定を受ける前に契約・発注等を行った経費は、原則として補助対象外になるという点です。例外として、系統連系に係る工事費負担金契約に係る工事費負担金についてのみ、交付決定前の契約でも補助対象として認められます。太陽光発電設備そのものの発注は、必ず交付決定後に行ってください。

また、申請にあたっては、事業計画書や収支予算書のほか、建物の直近1年間(令和7年4月から令和8年3月)の電力使用量の30分値実績データの提出が求められます。新築・移転直後の建物でこの実績データがない場合は、事務局への事前相談が必要とされています。

まとめ

堺市「堺エネルギー地産地消プロジェクト推進事業補助金(余剰電力等活用型太陽光発電設備整備事業)」は、屋根の太陽光発電設備で発生した余剰電力を市指定の小売電気事業者へ売却し、市有施設への再エネ供給という地域の仕組みに参加するという、堺市ならではの制度です。自家消費率30パーセント以上80パーセント未満という要件のもと、余剰率に応じて1/4から1/2の補助率が適用されます。

単年度事業枠の申請期限は令和8年11月30日(月)17時ですが、先着順で予算上限に達し次第早期終了する運用のため、早めの事前協議と申請準備をお勧めします。対象は堺市内の建物(住宅を除く)で、需要家は中小企業または中堅企業(従業員数2,000名以下)であることが条件です。

Enememoでは、堺市への事前協議のご相談から、発電量・余剰率のシミュレーション、申請書類の作成まで一括でサポートしています。「自社の建物は対象になるか」「どのくらいの余剰率になりそうか」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。