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2026-09-16
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【解説】各省庁の令和9年度概算要求から読む2027年度補助金の方向性

こんにちは。Enememoの加藤です。

毎年8月末、経済産業省・環境省・国土交通省などの各省庁は、翌年度予算の「概算要求」を公表します。これは年末の予算編成に向けて各省庁が財務省に求める要求段階の資料であり、そのまま予算になるわけではありません。しかし、どの分野に力を入れようとしているか、どの補助金が拡充・縮小・新設されそうかという「方向性」を最も早く読み取れる一次資料です。

今回は、令和8年8月末に公表されたばかりの各省庁の令和9年度(2027年度)概算要求資料をもとに、省エネ・脱炭素関連の補助金がどこに向かおうとしているのかを整理します。

経済産業省:概算要求総額は過去最大の7兆7,859億円

経済産業省の令和9年度概算要求は、経済産業省関連合計で7兆7,859億円となり、令和8年度当初予算(3兆693億円)から大幅に増加、過去最大規模となりました。

このうち、GX経済移行債を財源とする「GX推進対策費」は1兆2,594億円(令和8年度当初6,050億円)、エネルギー対策特別会計は2兆6,351億円(同2兆5,333億円)です。

事業者向けの省エネ・脱炭素補助金に関わる主な事業として、次のものが挙げられます。

  • 省エネルギー・非化石転換の投資促進・社会実装支援事業:2,108億円(令和8年度当初840億円、令和7年度補正550億円)。前年度当初予算比で約5倍の要求
  • 再生可能エネルギー導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業:399億円(令和8年度当初350億円、令和7年度補正80億円)
  • 排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業:881億円(令和8年度当初417億円)。前年度当初比で倍増
  • 高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金:530億円(令和7年度補正570億円と同水準)
  • 脱炭素電源地域貢献型投資促進事業:260億円(令和8年度当初400億円)。こちらは前年度当初を下回る要求額

系統用蓄電池への投資支援や、事業者向けの省エネ・非化石転換支援は前年度から増額要求されている一方、脱炭素電源地域貢献型投資促進事業のように減額されている項目もある点は、一律に「拡大」ではなく事業ごとに濃淡がある点として押さえておくべきです。

中小企業関連では、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業」が2,200億円(新規)として要求されており、「強く豊かな日本」投資枠を活用した大型の中小企業支援策として注目されます。

環境省:エネルギー対策特別会計は前年度当初の約2.5倍を要求

環境省の令和9年度概算要求は、総額1兆1,451億円+事項要求です。このうちエネルギー対策特別会計は5,151億円〜5,154億円(資料により表記に若干の差異あり)で、令和8年度当初予算比で約2.5倍の水準となっています。

住宅・建築物分野の脱炭素化に関する主な事業として、次のものが挙げられます。

  • 断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業:980億円(新規要求。令和7年度補正予算では1,125億円が計上されていた「先進的窓リノベ」の後継的な位置づけ)
  • 脱炭素志向型住宅の導入支援事業:500億円(令和7年度補正750億円)
  • ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業:280億円(令和8年度当初70億円)。前年度当初比で4倍に急拡大
  • 特定地域脱炭素移行加速化交付金:80億円(令和8年度当初70億円)

中小企業向けでは、「中小企業を含むバリューチェーン全体の脱炭素経営高度化事業」が17億円(令和8年度当初と同額)で要求されており、急拡大ではなく現行水準の維持という位置づけです。

ペロブスカイト太陽電池関連への急拡大や、住宅の断熱改修・省エネ住宅支援への重点配分は、環境省の令和9年度要求の特徴的な傾向として読み取れます。

国土交通省:住宅局関係予算は前年度の2.43倍を要求

国土交通省の令和9年度概算要求は、総額8兆7,694億円で、令和8年度当初予算比で1.44倍、過去最大規模となっています。

住宅・建築物分野に絞ると、住宅局関係予算の概算要求総額は4,186.52億円で、前年度(1,720.94億円)比2.43倍という大幅な増額要求です。

特に注目される新規・拡充事業は次のとおりです。

  • 「みらいエコ住宅2027事業」:2,000億円(新規)。ZEH水準の省エネ性能を持つ新築住宅の普及、既存住宅の省エネ改修等を支援する事業として創設が要求されています。このほかGX経済移行債による措置も別途見込まれています
  • 住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業:1,699.04億円(前年度60億円)。前年度比5.51倍という大幅な増額要求
  • 建築GX・DX推進事業:103億円(前年度73億円、41倍)

なお、「みらいエコ住宅2027事業」については、現時点で補助対象となる新築住宅の具体的な種類(省エネ性能区分等)は未定であることが報じられています。

3省連携の「住宅省エネキャンペーン」路線は令和9年度も継続の方向

経済産業省の高効率給湯器導入促進事業、環境省の断熱窓改修・脱炭素志向型住宅支援、国土交通省のみらいエコ住宅2027事業は、いずれも住宅の省エネ化を目的とした3省連携施策の系譜にあります。各省の概算要求資料を横断して見ると、令和9年度もこの3省連携型の住宅省エネ支援策が継続・拡大される方向で要求されていることが読み取れます。

まとめ:概算要求はあくまで「方向性」、確定は年末の予算編成後

令和9年度(2027年度)の概算要求から見えてくる傾向を整理すると、次のようになります。

  • 経済産業省は過去最大の要求総額で、事業者向けの省エネ・非化石転換支援や系統用蓄電池支援を増額要求する一方、一部の脱炭素電源関連事業は減額要求となっている
  • 環境省はエネルギー対策特別会計を前年度当初の約5倍に拡大要求しており、特にペロブスカイト太陽電池関連への重点配分が目立つ
  • 国土交通省は住宅局関係予算を前年度比43倍に拡大要求し、「みらいエコ住宅2027事業」という新規の大型事業(2,000億円)を打ち出している

ただし、これらはあくまで8月末時点での各省庁の要求額であり、年末の予算編成過程(財務省との折衝、12月の予算編成大綱等)を経て、金額や制度設計が変更される可能性がある点に留意が必要です。実際に来年度の補助金として運用が始まるのは、令和9年度予算が成立し、各補助金の公募要領が公表されてからになります。

Enememoでは、各省庁の概算要求段階からの継続的なウォッチと、確定後の補助金公募情報のいち早いお届けに努めています。「自社に関係しそうな新規事業はあるか」「今のうちに準備しておくべきことは何か」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。