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2026-09-29
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【解説】東京都の再エネ・蓄電池補助金とは? ゼロエミ・都外設置・VPPの主要制度を整理

こんにちは。Enememoの加藤です。

「東京都の補助金は種類が多すぎて、結局どれが自社に合うのか分からない」。都内で事業を営む企業様から、最近こうしたご相談をいただく機会が増えています。

そこで今回は、東京都および関連団体(クール・ネット東京)が運営する再エネ・蓄電池関連の補助金のうち、令和8年度に公募実施中の主要4制度を整理します。なお、東京都には「中小規模事業所のゼロエミッションビル化支援事業」「【事業者用】蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネス支援事業」といった制度もありましたが、令和8年度の公募情報が見当たらないため、今回は除外しています。

まず押さえておきたい2つの事実

一つは、東京都の補助金が「都内限定」ではないということです。都内は用地確保のハードルが高いため、東京電力エリア内であれば都外に発電設備を設置しても対象になる制度が複数用意されています。

もう一つは、意外と見落とされがちなスケジュール上の注意点です。後述する、制度②(都外設置)・制度④(蓄電池単独設置)が属する「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」は、実施要綱上、交付申請の募集期間が令和6年度から令和8年度までと定められています(助成金の交付自体は令和10年度まで継続)。制度①(省エネ設備導入・運用改善支援事業)についても、募集は令和5年度から令和8年度までと定められています(交付は令和9年度まで継続)。つまりこの3制度は、単に「予算がなくなり次第終了」というだけでなく、現行の制度設計そのものが今年度で区切りを迎える見込みです。

制度①:ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業

高効率空調、全熱交換器、LED照明、高効率ボイラー、高効率変圧器、断熱窓等の省エネ設備更新や、人感センサー導入等の運用改善が対象です。

対象となるのは、都内に中小規模事業所(前年度の原油換算エネルギー使用量が1,500kl未満の事業所)を所有または使用する中小企業者等で、中小企業の該当性は中小企業基本法に基づき業種ごとに判定されます。個人事業主、学校法人、一般社団・財団法人、医療法人、社会福祉法人等も対象に含まれ、中小企業者等と共同で申請する場合に限り、リース事業者やESCO事業者も対象になり得ます。

CO2削減の実現方法により以下3つの申請区分があり、補助率・上限額が異なります。

  • 年間28t-CO2以上削減:補助率4分の3、上限4,500万円
  • 省エネ診断に基づき3t-CO2または30%以上削減:補助率3分の2、上限2,500万円
  • 自社計画で3t-CO2または30%以上削減:補助率3分の2、上限1,000万円

助成対象経費は設計費・設備費・工事費に限られ、国その他の団体(区市町村を除く)から別の補助金等の交付を受けている経費は対象外となるため、国の補助金との重複申請はできません。

申請の流れは、省エネ診断またはコンサルティングの受診、電子フォームでの交付申請、交付決定後の工事実施、工事完了届の提出という順序です。令和8年度は複数回にわたり受付を実施しており、現在は第4回(9月16日〜10月2日)が受付中です。第5回・第6回も予定されています。なお、クール・ネット東京は本制度をめぐる詐欺的勧誘について注意喚起を行っており、「交付決定通知書」の交付前に費用の支払いを求める行為や、「工事実質0円」といった表示は不正であるとされています。

制度②:地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都外設置)

東京電力エリア内に再エネ発電設備・蓄電池を設置する場合が対象です。補助率・上限額は次のとおりです。

  • 中小企業等(中小企業基本法上の中小企業者、個人事業主、学校法人、公益法人、医療法人、社会福祉法人等):再エネ発電設備は補助率3分の2以内(太陽光は発電出力×20万円/kWとの低い方)、蓄電池は4分の3以内(蓄電池定格容量×15万円/kWhとの低い方)
  • その他事業者:再エネ発電設備は2分の1以内(同15万円/kW)、蓄電池は3分の2以内(同13万円/kWh)
  • 上限額:蓄電池を同時設置(発電容量×1時間以上5時間以下)する場合は2億円、それ以外は1億円

対象となる再エネ発電設備は、FIT・FIP制度の設備認定を受けず、年間発電量が設置施設の年間消費電力量の範囲内(自家消費目的)であることが基本要件です。都外に設置した分の電気はそのまま都内に送れないため、得られた環境価値を「再エネ電力証書」として証書化し、都内事業所で自ら利用することが求められます。申請スキームは、自己所有、リース事業者所有、PPA事業(発電事業者所有)、PPA事業(リース事業者所有)の4パターンが用意されています。

設備面では、太陽光発電はJETPVm認証等を受けたモジュールであること、水力発電は発電出力1,000kW以下、バイオマス発電は依存率60%以上が条件です。蓄電池は定置用で、系統電力より再エネ発電設備からの電気を優先的に蓄電し、耐類焼性の証明書提出が必要です(定格容量20kWh未満はSIIへの事前登録確認書類での代替も可)。令和9年度からは、系統連系手続きにおいてIPAのセキュリティラベリング制度「JC-STAR」★1以上を取得した製品の活用が要件化される方針が示されており、今年度中に設備を選ぶ際も将来の系統連系を見据えた確認をおすすめします。

実務面では、取得設備の維持管理義務が設備ごとに定められています。実績報告の提出期限は、太陽光発電設備等が交付申請をした翌年度11月末日17時、それ以外の設備は翌々年度11月末日17時です。また、高圧・特別高圧(50kW以上、屋根設置を除く)で発電設備を設置する場合は、地元住民への説明会実施が必須です。受付期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日17時までで、予算に達し次第、期間内でも終了します。

制度③:再エネ電源都外調達事業(都外PPA)

都外に設置した再エネ発電設備の電気を、都内の電力需要家が利活用する取り組みが対象です。契約形態によって補助率が変わる点が制度②との大きな違いで、実際の電気を直接供給する「フィジカルPPA」は補助率3分の2以内、環境価値のみを供給する「バーチャルPPA」は補助率2分の1以内です。補助上限額は、蓄電池同時設置(蓄電池容量が発電容量×1時間以上)で特別高圧以外4億円・特別高圧7億円、単独設置で特別高圧以外2億円・特別高圧5億円となっています。

蓄電池は発電容量の5時間分までが助成対象で、EV電池のリユース品も対象です。助成金の交付先は原則として都内の電力需要家に限定されます。令和8年度の予算規模は40.9億円と、都外設置型の中でも大きな予算が確保されており、受付は第1回(4月1日〜9月30日)、第2回(10月1日〜3月31日、予算到達次第終了)の2回に分けて行われています。

制度④:地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都内設置・蓄電池単独設置)

発電設備を新設せず、蓄電池単独での設置を対象とする制度です。制度②と同じ「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」の枠組みに含まれますが、こちらは都内設置かつ蓄電池単独が対象という点で使い分けられます。補助率・上限額は、中小企業等が補助率4分の3以内・上限900万円、その他事業者が3分の2以内・上限800万円です。

蓄電池は定置用であることが必須で、可搬式のものは対象外です(EV電池のリユース品は対象)。注意したいのは、「蓄電池設置施設において蓄電池を増設する事業でないこと」という要件があり、既にこの制度で蓄電池を導入した施設に、同じ枠組みで追加導入することはできない点です(既設の地産地消型再エネ発電設備への新規併設は対象内です)。なお、同じ枠組みには営農型太陽光発電やソーラーカーポート等を対象とする「地域活性化型」の区分もあり、そちらは蓄電池単独設置とは異なる上限額(同時設置2億円等)が適用される一方、地元との関係構築が追加要件となります。受付期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日17時までです。

まとめ

自社の目的に応じて、対象制度は次のように整理できます。

  • 都内施設の省エネ設備を更新したい:制度①(省エネ設備導入・運用改善支援事業)
  • 都外で発電設備を設置し、環境価値または電力を都内で使いたい:制度②(都外設置)、制度③(都外PPA)
  • 発電設備は不要で、蓄電池だけを導入したい:制度④(蓄電池単独設置、増設不可)

4制度とも予算到達次第受付終了となるほか、制度①・②・④については現行の実施要綱に基づく交付申請の募集自体が令和8年度で終了する見込みのため、検討中の案件がある場合は例年以上に早めの申請準備をおすすめします。

Enememoでは、自社案件がどの制度に該当するかの切り分けから、公募要領に基づく申請書類の作成まで一括でサポートしています。「都内・都外どちらの制度を使うべきか」「今年度中の申請に間に合うか」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。